福岡高等裁判所 昭和28年(う)1980号 判決
而して郵便貯金は金銭の消費寄託に他ならないから預入金員の所有権はその預入と共に受寄者たる国に帰属し最早預入人の所有には属しない。故に郵便貯金については刑法第十九条第二項但書により国が、その預入金が同条第一項各号のいずれかに該当する金員であることの情を知つて受寄した場合の外は沒収することは許されないところである。然るに本件記録及び原裁判所において取り調べた証拠を調査しても国が被告人より右貯金通帳5、7、9各預入欄記入の金員を受入れる際之がいずれも賭博行為に因り得たものであることの情を知つていたことの証拠資料は全然見当らない。従つて前示の如く本件郵便貯金の没収を言渡した原判決には刑法第十九条の適用を誤つた違法があり且この違法が判決に影響を及ぼすことが明らかであるから原判決は破棄を免れない。論旨は理由がある。
(後略)